投下するスレ 05 |
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「そうですか、報告ありがとうございます」 「いや、せっかく見つけたのに逃がしてしまってすいません。 もっと準備を整えてから踏み込むべきだったかと」 「まったくだ。これだからkUzuは」 「勝手に入ってったのはてめーだろ!」 coco_Aは、王宮に戻ってきたkUzuとPespの報告を受けていた。 ayatoriさんと一日目から接触できるとは、正直意外というか、不自然だ。 kUzuさんの話からも考えて、相手に何か狙いがあるような気もする。 「とにかく、お疲れ様です。2人とも無傷で」 「無傷っすね。確かに」 「ちょっとぐらい傷あっても良いな。ビジュアル的にさ」 2人が妙な言い回しで答える。 ayatoriさんレベルの相手と相対するとなれば、危険な状況も覚悟していたはず。 それなのにほとんど闘いもせず逃げられたとなると、歯切れの悪い言い方になるのも頷ける。 「えー、とにかくお疲れ様でした。明日以降はそうですね・・・」 2人への指示を思考しようとしたとき、執務室の窓から、王宮に入ってきた人物が見えた。 「あれは・・・」 「NIKoo!」 王宮内を歩くBonitoとNIKooに、coco_Aが駆け寄っていく。 「NIKoo、昨日警備を抜けて一体何をしていたんですか? おかげで大変な目に・・・」 ayatoriが計算に攻撃を仕掛けた、事の始まりの日。 警備担当でありながら不在だったのはNIKooであった。 「coco_A、大臣いるか?」 coco_Aの話を完全に無視して、逆に質問で返すNIKoo。 「大臣?」 「あーcoco_Aさん、すいませんちょっと色々あって・・・NIKooも一応警備をしていたといえばしてたような」 「どーせいつもんとこか。かつお行くぞ」 NIKooは城の内部へ進んでいく。 「という訳で、こうして王宮に・・・」 BonitoはNIKooの後に従いながら、横を歩くcoco_Aに事のあらましを話していた。 「s777・・・またややこしい話が出てきましたか」 「また?他に何かあったんですか?」 「色々とね。まずい事態になってます」 ため息混じりにcoco_Aが言った時、NIKooは「情報室」と書かれた部屋の前に到着した。 |
ドア壊すような勢いで開け、中に入るNIKoo。 「ちょっとNIKoo、もうちょい静かに」 「大臣いるかー?」 NIKooが部屋の中に呼びかける。 たくさんの器具と書類が散乱して、王宮内で異空間となっているこの部屋。 この部屋に普段から住み着いている者が1人いる。 「一体何・・・眠ってたんだけど・・・」 ぼさぼさの頭を掻きつつ、あくびをしながら現れた男。名は337、通称大臣。 国内外の様々な情報・技術に精通し、JEBには欠かせない人物である。 「よう。見て欲しいものがある。s777の資料あるか?」 s777という言葉に、337の眼鏡の奥の目が反応する。 「s777・・・最近本当にいいよね。僕もかなり注目しているんだよね。 で、何を御所望?やっぱり最近は彼のネタ技の」 「なんでもいい。魔力が詳細に比較できるもんだ」 話を中断され頬を膨らませる337に、Bonitoが状況を説明する。 「先程s777に襲撃され、戦闘しました。あっちは本気じゃなかった感じなんですけど。 それに関して、なんだよなNIKoo」 「対戦したって、偽者だぜ」 「は?」 BonitoがNIKooの発言に大きく驚く。coco_Aも一緒である。 「あんなん偽だ。 大臣に確認してもらいに来たんだよ、お前気づいてなかったのか?」 「・・・確かに不自然な点も多かったが、偽者だったか? 見た目、魔力、旋転のスタイル、どれも本人のそれのように思ったんだが」 「ったく。大臣、これ」 NIKooが懐から取り出したものを337に手渡す。 蔓の切れ端。片面は鋭く焼ききられている。 「少し魔力が断面についてると思う。大臣なら分析できるだろ」 「んー。これね。ちょい調べてくる」 そう言うと337はペンを片手に部屋の奥へ消えていく。 数分後、337が戻ってきた。 「んー・・・どっち、って言えば良いのかな・・・」 「あ?偽者じゃねえのか?」 NIKooは不満なようだ。337が続ける。 「んーと、いやさ、確かにこれはs777本人の魔力とは言いにくいよ。うん。 でも、どう考えても複製できないような特徴もあったりしてさ。 本物ではあるけど、フィルターがかかってるっていうか・・・。 具体的に言うと魔力生成の波長とアラウンド系の速度や指の形状の関係って言う観点から見て」 「あー、分かった。 それより、達が対戦したのは本物なのか?どうなんだ?」 小難しい話を制して、NIKooが337に問う。coco_A、Bonitoも見守る。 「・・・僕は違うと思う。今んとこ思いつくのは、例えばどこか違う場所から遠隔操作してたとか。 そういう普通じゃない形での戦闘だったと思うね」 「なるほど」 Bonitoがうなずく。NIKooも337の話を受け、何やら思考している。 「ふむ・・・とにかく、この件も関わっていると見て良いでしょうね」 そうcoco_Aは前置いて、 「3人とも、この後会議を開くので、それに参加して下さい。 色々話さねばならないことがあります」 3人は即座に頷いた。 |
JEBの北に位置する、少し寂れた町並みの中の骨董屋。 その中に、今2人のスピナーが駆け込んでいった。 「冬さん!」 店の中では、並べられた多くの品が床に落ち、随分な惨状になっている。 その中に立つ者達。全員若者らしく、特におかしい風貌はしていない。 ただ、7,8人の者全員が、手にペンを持っている事を除いて。 そして謎のスピナーたちに囲まれた位置に、winterが見える。 暗い店内で黒い服だから分かりにくいが、 その左肩の辺りを濡らしているのは間違いなくwinterの血液であった。 突然の闖入者に、全員が鋭い視線を向けた。 そしてそれがスピナー、それも国内に名を轟かす計算といもであると分かると、 すぐさまペンを構えた。 しかし、2人は中で戦闘になることを予感していた。 店内の様子を一目見るなり、一瞬で旋転を開始する。 まず、速かったのは計算。 オーソドックスなアラウンドから滑らかなパスへ。 瞬間、戸口から消えて若者達の真ん中に現れる。間髪入れず前の1人に雷撃を叩き込む。 更に音速での移動。あっという間にwinterの横に到達する。 「冬さん、大丈夫ですか?」 「すまん・・・隙を・・・」 若者達が計算に襲い掛かる。ゆっくり話すのは後のようだ。 計算に目を向けたスピナー達の背後。いもが切り込んだ。 右手から、中の1人に向け空気砲を打ち出す。 攻撃に反応するも、衝撃は殺しきれず壁に打ち付けられる。 計算は、自分に向かう火・爆発・疾風、数々の攻撃を、winterをかばいつつ難なく防いでいく。 「(荒い。弱くは無いが)」 その間、いもはさらに1人を片付けたようだ。 「くっ・・・」 店の外にwinterを運ぼうとするも、苦しそうな声が漏れる。 動かさないほうが良いかもしれない。 いったんwinterを床に座らせ、計算も攻撃を再開する。 戦闘しながら、計算はいくつもの妙な点を見つけていた。 「(このスピナー達、勿論俺と比べればまだまだだが、でもそれなりの実力はある。 だが、どうして―どうして、全員の顔を知らないんだ?)」 勿論自分は、JEB内のスピナーを全員知っている訳ではない。 だが、これくらいのレベルなら1度くらいは目にしてる可能性が高い。 この人数、全員見たこともないというのはおかしい。 それに。 見たことが無い、という点ではこいつらが回しているペンもだ。 自分が知るどのペンとも風貌が異なる。 「つっ」 いもが声を漏らす。 斬撃をもらったのか、ほおに切り傷がついている。 「(とりあえず今は戦闘に集中か)」 後ろをちらりと見る。冬さんの表情はやはり辛そうだ。 早くケリをつけた方がよさそうだ。 パスの複雑さを高めていく。そして、アクセントをつけて切り返す。 目の前に並ぶ2人の間に光速で割って入る。 そのまま近距離から攻撃を放ち、2人のペンを叩き落す。 背後から来る相手の鎌鼬を軽いステップでかわす。 キレのあるスプレッド。首筋を打ち、倒す。 いもも、安定感のある旋転で相手を次々に落としてく。 いものアラウンドはそうそう防げるものではない。 思ったより相手に隙が多い。これならそんなに時間もかからなさそうだ。 しかし、このレベルの相手で冬さんを襲撃か。 実力的に、冬さん1人でも相手できないレベルではない。 倒せはしなくても、逃げるくらいはできたはずだ。 恐らく、冬さんを襲う理由はくらさん関係だ。口封じかもしれない。 なら、確実に処分するためにもっと人員をかけても・・・ 「(待てよ)」 計算はふと気づく。 相手が、ここに見えるだけとは限らないじゃないか。 となると― いもが最後1人の利き腕を落とした。間髪入れず止めをさす。 「ふー。終わったー」 いもが肩で息をしながら、額の汗をぬぐう。 「いも」 「はい?」 「冬さんを頼む」 「え?計算さん、どこに?」 戸口に駆けながら計算が答える。 「こいつらの指揮官のところだ」 戦闘をしながら周囲に魔力をめぐらせ、掴んだ気配。 既に戦闘の終了と同時に遠くへ離れ始めている。 「(指揮官。多分、今度こそ名の知れたスピナーだ)」 見失わないように集中しつつ、地面を蹴った。 |
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