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「はろー、ちょっと久しぶり」 「…よ」 「ども」 2人に軽く頭を下げる。 EiH1は王宮へ来て、raimo・RiAsONと会っていた。 特に用件があるということではなく、たまには来たら?という感じの話です。 「そういえばさ、90って自分の部屋作ったの?」 裏庭を歩きながらリア姉が話しかけてくる。 「あー…作ってないです」 「じゃ、あんまり回してないでしょ。 空き部屋でちょっと体動かさない?」 リア姉がありがたい提案をしてくれる。 「あ、いいんですか?」 「…元々俺と姉御は、空き部屋行くつもりだったからな。 行くぞ」 さっさと歩きだしてしまったraimoの後ろに従い、空き部屋に向かった。 「かなり前の話になるんだけどさ」 「ん、何です?」 空き部屋について、まずは数分の間、互いに感覚を確かめるような軽い戦闘をした。 その後、一息ついているときに、リア姉が話しかけてきた。 「最近ザコテが増えてる、って話をしたじゃん」 「…あー、しましたね」 ザコテ、という単語に思わず反応しそうになりながら、答える。 「あの後いろいろあってね。最近、ザコテ君たちをよく観察するようにしてるんだけど」 「そうなんですか」 「…俺も付き合わされてるぜ。 姉御に無理矢理」 raimoが愚痴る。 「へー…」 それにしても、この2人は仲がいいな。 「なーんか気になるのよね。妙にこそこそしてる連中が多い気がして。 90、なんか噂聞いてない?」 少し、ギクリとする。 心当たりは凄くあるけど…。 ちょっとしゃべる訳にはいかないよな。 「んー、思い当たらないっす」 「そ」 リア姉が特に表情を変えず返答する。 あんまり期待してなかったんだろうな。 「raimoー、次ちょっと相手してよ」 「分かった」 先ほどは俺とリア姉を横で見ていたraimoが頷く。 今度は俺が見学の番のようだ。 穏やかで飄々とした雰囲気のままのリア姉と、表情が真剣なものになったraimo。 一見対照的だが、どちらもけっこう本気で手合わせをする気だ、というのは分かる。 流石に俺の相手をしてたときは、こっちに合わせてくれたらしいな。 とりあえずちょっと楽しみだな・・・と思い、注目したところで、扉が開く音がした。 「失礼します」 coco_Aさんだ。 「ん、coco_Aじゃん。どうしたの?」 「えーと、EiH1さんがいると聞きまして」 あれ、俺に用なのか。 少し意外に思いつつ、coco_Aさんの所に向かう。 「よろしかったら、少しお暇をいただいていいでしょうか?」 「えーと…はい、大丈夫です。 すいません、ちょっと出てきます」 2人に向かって声をかける。 「了解ー。 たぶん当分ここにいると思うから」 「分かりました。終わったらまた来ます」 軽く頭を下げた後、coco_Aさんに続いて部屋を出た。 |
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着いたのは、情報室。 入るのは初めてで、少し緊張しながら入る。 中では、なんだかごちゃごちゃとした大量のものに囲まれて、337さんとSEVENが待ち構えていた。 「おー、来た来た。 90くんだよね。同じ数字の登録名だからなんとなく親近感があるなー」 「どうもはじめまして。 えーと、一応登録名がEiH1ってのになってまして、そちらで呼んでもらった方が…」 「登録名とか、あんま気にしなくていいって。 僕も337って呼ばれることほとんどないし。 ま、よろしくね、90くん」 …EiH1って名前、呼びづらいんだろうか。 なぜだか皆90って呼びたがるような。 「えーと、いったいどうしたんでしょうか」 「少し聞きたいことがありまして」 俺の質問に、SEVENが答えてくれる。 「たまたま大臣が気づいてくれたみたいなんですけど。 先日の事件のあと、ほとんど王宮に顔を見せてませんよね」 なんとなく予想はついてたけど、あの事件の話のようである。 「んで、まぁ気になってちょっと観察してみたけど…ある場所にかなりの割合いるみたい、だね」 「んーと、隠すつもりは無かったですけど…。 確かにあれ以降、したらばに思いっきり入り浸ってますね」 最近はたまに人に聞かれるから、自分がしたらばによく行ってる、ということを口外するのはあまり躊躇しなくなっていた。 だから、337さんの言葉に対しても、素直にそのことを明かす。 「ここからは私の想像なんですが。 事件のことについて、調べてまわったりしてませんか?」 coco_Aさんが単刀直入に言った。 「えーと…」 どういう言い方をしようか一瞬迷う。 が、直後に「えーと」と言った時点で、肯定に等しい反応だな、と気付く。 「そういうこともしてます」 「そうですか。 特に、咎めるとかそういうつもりはないんですけど。 よろしければ、何か分かったことがあったら聞かせてくれません?」 再び単刀直入な質問。 「…」 これは…どうすればいいんだろう。 したらばで俺は主犯格の男と話をして、結構核心的なことを聞いてしまっている。 目の前の3人に明かしてしまって、いいものだろうか。 ザコテ達に関して、この人たちがどういう立場にいるのか、正直分からない。 無下にするようなことはないだろうし、改善を図ってくれるような気もする。 しかし、実際、あのザコテ達は事件を起こしてしまっている訳であり、武力行使のようなことも考えている。 この人たちは、国を統べている訳だし…。 「わかりました」 俺の考えがまとまる前に、SEVENがそう言った。 「話しづらいなら、無理をしなくていいです」 「…あ、えっと…そうっすか」 少し驚きながら言う。 coco_Aさんも少し意外そうな表情で、SEVENに言う。 「SEVEN、いいんですか?」 「…この人から無理やり聞き出すのは、ちょっと違う気がするので。 EiH1さん、時間をとらせてすいません」 SEVENが頭を下げる。 coco_Aも1つ息を吐いたあと、口を開いた。 「SEVEN、じゃあ仕事を片付けてしまいましょうか。 EiH1さん、失礼します」 「あ、はい」 2人は情報室から先に出て行ってしまった。 「もう話は終わりか。 まったく、せっかちだなぁ」 337さんが言う。 確かに、あっという間に要件は終わってしまったような感じだ。 「お客さんが来るのは珍しいから、僕としては歓迎したいんだけど。 ま、ゆっくりしていってね」 「あ、はい、どうも」 「そう言えば、90くんはここ入るの初めてだよね」 「はい」 「見ての通りごちゃごちゃしてるけどさ。 いろいろ資料とかはあるから、適当に見てもらっていいよ」 「本当ですか?」 願ってもない話である。 この部屋、とにかく紙が多い。 良く分からない機械もあるけど、それ以上に本や書類がたくさんある。 情報室という名にそぐわない景観、といったところだろうか。 「その代わり、回しのデータとらせてほしいんだけどね。 この前、ちょっと見かけて、なかなか面白いなーと思ってね。 ま、それは後でいいから」 「じゃ、お言葉に甘えて…」 まず目に入ったのは色々なCVなどの動画だった。 見たことがないようなFSなどがかなりある。 いつも思うんだけど、この人は一体どうやってこういうものを集めてくるんだろうな…。 あー、やばい。 俺、情報室になら3日ぐらい余裕で居れそうだ。 動画類に続いて、ペン類の書類を見る。 「337さん、ペン凄い多いですね」 棚には、資料と一緒にかなりの数のペンが置いてある。 「んー、実際に回すのはあんまり多くないんだけどね。 もらったりしてるうちに自然に増えちゃって」 「そういうもんですか」 見たことのないようなペンの記述・画像もある。 海外の人とも337さんはかなりつながりがあるようだし、 この人の情報収集能力はほんとに凄まじいと思う。 「…ん」 そんな風に考えながら資料を漁っていた時。 1本のペンの画像に、目が止まった。 「…337さん」 「何ー?」 「えーと、このペンについてちょっと聞きたいことが…」 「お、質問?いいよ、どんどんしちゃって」 目を輝かせながら、337さんは言った。 |
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「来ねえな」 「そうね」 raimoの言葉に、RiAsONが答える。 空き部屋で体を動かすことにひと段落ついた2人は、少し休憩していた。 「…姉御、どうしてザコテの話をエイフーに聞いたんだ?」 「んー、どうしてって…別に」 「見るからにそういうこと知らなさそうじゃねえか」 「別に聞いて損する訳じゃないでしょ。 それに…」 「それに?」 「あの子、なんとなーくそういうこと、いろいろ考えてそうじゃん」 RiAsONの言葉に、raimoはしばし黙った後、 「…どうだろうな。俺はあんまピンと来ねえが、姉御が言うならそうなんじゃねえの」 「そうね、raimoは人を見る目がないからね」 「うるせえ」 ぶっきらぼうに言うraimoに対し、微笑むRiAsON。 「しかし、90一体何してるんだろ。 PMでも送っといて、どっか行ってようか?」 「…俺はどうでもいいぜ」 「んじゃ、街でザコテ君たちと遊びにいこうかー」 「…遊ぶっつっても、なんか遠巻きに観察したり、適当に歩き回りながら会話してるだけじゃねえか。 マジで姉御、あんなんが楽しいのか?」 raimoが冷たい目でRiAsONを見る。 「いいじゃん、どうせraimoも暇でしょ。 そうだ、Makinとか暇だろうから誘ってこうか」 「…好きにしろ」 raimoがため息をつきながら言った。 |
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情報室を出てから、もう数時間になる。 が、未だに考えているのは、情報室でのことだ。 一体、どう捉えるべきなのか。 EiH1は、したらばにいた。 1人でちびちび酒を飲みながら、ずっと考え事をしている。 「…あれは、絶対そうだよな」 見間違いようがない。 つまり、337さんの話からすれば…。 だから、あの人ザコテ側の立場にいる、ってことだろ。 あー、畜生、分かんねえ。 「あー!」 もう駄目だ、頭ん仲がかなりごちゃごちゃしてきた。 考えすぎるのはやめよう。 こういうときは、酒でも飲んで一晩経ってから…。 「ハハハハハ」 そこで、店中に1つの笑い声が響いた。 「ばっかじゃねえの、あいつ!」 声の大きさに、店中が静まり返る。 「馬鹿お前、大声出すなって」 「いいじゃんかよ、ここはしたらばだぜ? 包み隠さず話すための場所だろうが」 向かいの席に座っている男の制止も聞かず、男はわざとらしい大声で話を続ける。 「お前ら聞いてくれよ。 あるザコテがさ、なんか自分のCVに有名コテ誘いまくってるんだってよ」 「登録して1年もたってなくて、ろくに人脈もないくせにPM送りまくってるらしいぜ。 もう迷惑考えなさすぎ」 「それひどいな。自分の立場考えろ、っていうかさ」 まあ、よくある話だろうな。 CVをやるとなったら、ゲストで上手い人に出てもらいたいってのは誰でも考える話だ。 誰でも自由にコンタクトがとれる方法となると、PMぐらいしかない。 「あんなゴミみてえなスタイルで、ずいぶんとまぁ調子に乗ってるんだな。 ウマコテと共演とか一生無理だろうな」 …叩き、なんだろうか。 なんというか、叩きのレベルにさえ達していないもののような。 それに、今日はゆっくりと飲もう、と思ったんだし。スルーでいいか…。 グラスを手に取り、口元に運ぶ。 …待てよ。 その途中で、ふと手が止まった。 俺がしたらばに入りこんでることを、coco_Aさん達はなんとなく感づいていた。 なら、ザコテ達がここで動いてる、ってのも感づいているかもしれない。 もしかしたら、既にアクションを起こしているかも。 そうなれば、彼らも武力行使に移るしかなくなる、ってことも考えられる。 それは、よくないんじゃないか。 そうだ、ゆっくりしている暇はない。 出来るだけここを変えて。彼らを止めないと。 幸い、アホが大声を出したおかげで店中が注目してる。 多くの人の前で意見出来るチャンスだ。 思い立ったら即行動、だ。 頭の中で簡単に施行を巡らせ、軽く息を吸ったあと、 「別にCVに誘ってもいいじゃねえか、叩くようなことじゃねえよ」 と、叩いている男に聞こえるような大声で、言った。 「…お、そっちで何か話があるみたいじゃねえか」 「上手い人と共演したいと思って、PM送ることの何が悪いってんだ?」 「ウマコテの迷惑になる、はい以上」 「勝手に迷惑だって決め付けんなって。 何度も執拗に送ったり、アポなしで直接けしかけたりしたらそりゃあ迷惑かもしれないが、 PM送るってのはちゃんとした形式のお願いだろうが。 叩くのは間違いだ」 「お前はよー…。 レベルが低いCVに出るのをウマコテが断るのは普通のことだろ。 で、断られるのが明確なのにPM送って、相手に断らさせるとか、明らかに気遣いが足りねえな」 「駄目元でお願いしてみる、ってのは悪いことなのか? そういう気遣いが出来たら理想かもしれないが、聞いてみなければ分からないことだってある。 ウマコテがレベルの低いCVに、まったく出ないわけでもないんだし」 ここで、相手は押し黙った。 …まだまだ、こっちの論理には穴があると思うんだが、相手は反論が見つからない様子だ。 「…後は、お願いしまくって出てもらってのに、ひどい編集をするCVとかも出したりするじゃねえか。 ああいうのとか、失礼すぎるだろ」 「編集技術の未熟さや、センスに関してはしょうがねえだろ。 出来うる努力をしたのなら叩く要素はないな。 出る方もそれは承知で出てるんだろうし」 「…」 「正直、お前はザコテだから、って理由で叩いてるとしか思えねーんだよ。 批判するのは結構だが、根拠もない批判は迷惑になるだけなんだよ。 それで、人の意見を曲げちまったりするんだからよ」 本当は、こういう叩きは見たり聞いたりする方が、スルーなどの取捨選択をしなきゃならないと思う。 でも、叩きを止めるというのも方法の1つではあるし、俺の今の目的はそれだ。 だから、こういうことを言わなきゃならない。 「…随分と、何から何までザコテよりな意見だな」 そこで、別な奴から声が飛んできた。 「ザコテの自演臭が半端じゃなくするんだが」 「俺も思った。こいつ本人じゃね?」 …まぁ、こういう流れは何度か経験してるけど。 よくぞまぁ根拠もなしにこんなことが言えるもんだ。 「そこの、えーと…え、90?」 「…ああ、90だよ」 今日は90が空いてたから、特に考えもせず「90」にしておいた、んだけど。 「ハハハ…こいつはひでえ」 俺の番号を知ったとたんに、相手がにやにや顔になった。 「最近EiH1が話題だからって、90を選ぶとか。 正直痛いんですけど」 からかうような口調。既に議論をする気はないように感じられた。 「そういうネタに乗っちゃう、ってのがそもそも痛いし。 乗っかるネタも、よりによってあんなポッと出野郎とか、痛すぎるだろ」 まるで俺がネタキャラみたいな言い草だな。 言ってくれる。 「…この番号は、そういうんじゃねえよ。 昔からよく使ってる、ってだけだ」 「お前、冗談が上手いな。 何、EiH1本人とか言いだす訳?うん?」 落ち着けって。 完全に挑発に来てるんだ。 こういうのに乗ったら、絶対駄目だ。 「そういうことしちゃう奴に限って、回しとかもEiH1に全然敵わないんだよな。 酒がまずくなるんで、ご退場願いますかね?」 男はそう言うと、おもむろにペンを取り出した。 少し予想外の行動に、店全体が軽くざわつく。 「落ち着け、って。別に仮面はがしたりしねえよ。 いいか、昔から使ってるとか言うけどな、90はEiH1が昔から使ってる番号な訳よ。 だから、こいつの今の言葉は嘘なのがバレバレな訳。 いくらしたらばだからって、明確な嘘ついた輩にはご退場頂こうぜ」 そういって、軽くペンを回す男。 脅すように、男の前で小さく風の刃が音をあげた。 「…お前、マジで屑だな」 絞り出すように言う。 したらばでペンを取り出した、ってのは、ちょっと我慢の限界であった。 ポケットから素早くペンを取り出し、短く回す。 喧嘩の気配を感じ取ったんだろう。 周りの野次馬が一斉にペンをとる。 しかし、戦闘は起きず。 カチ、という小さな音が響く。 自分では確認出来ないが。 周りから見れば、俺の本当の顔が、明らかになってるはずだ。 起きるどよめきを無視して、言う。 「俺がEiH1だ。嘘はついてなかっただろ」 「な・・・」 「お前みたいな屑がいるから、ここはちっとも良くならねえんだよ」 思い切り男を睨みつける。 俺の視線は目の前の男だけをとらえていて。 周りの自分への視線を確認する余裕はなかった。 |
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