投下するスレ2 11

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「…」

東町の広場。
王宮を挟んで丁度反対側、西側にも同じような広場がある。
一瞬、そっちと間違えたか、とも思った。

けれど、昨日RiAsONさんから来た確認のPMにも、はっきりと東町の広場、と書かれていた。

それに、よくよく考えれば、そう間違いではない。
むしろしっくりくる光景、と言える。

呼び出した張本人もいるし、周りに居るのもその関係者だし。

でも、やっぱり、まだ俺とは違う世界のような気がしてしまう。


集合場所の広場の中心、噴水に集まっていたのは。

右から、kUzuさん、Pespさん、raimo、outsiderさん、さらにMakinときて、
左端でははさみさん、リアさん、Mizmさんと女性が3人並んでいる。
そんな凄まじい面子だった。

もう、オーラが出てる。
半分以上の人とはここ数日で顔を合わせた。
でも、やはりこう集まっていると、そう声をかけれる気はしない。

「来たんじゃない?」

どうしようか迷っていると、はさみさんが見つけてくれた。

「ん、ほんとだ。こっちこっちー」

リアさんの声を受け、近づく。

「どうも、こんにちは」

「こんにちは…。
 確かに…思ったより、普通の人だね」

「でしょ?」

Mizmさんの言葉に、リアさんが答える。

前にraimoにも言われたけど、俺の見た目は想像より「普通」らしい。
会う前は、一体どんな見た目を想像されているのだろう。

「えーと、今日は何の騒ぎで…」

こんなそうそうたるメンバーが集まっているので、
何事かと足を止めて、遠巻きに眺める人が増え始めている。

「CV作るのよ。即席だけどね」

「…」

返答に詰まる。

「よう。なんだ、CVだって聞いてないのか?」

続いて、kUzuさんが声をかけてくる。

「…はい、まったく」

「そうか。なんとなくそういう話はもともとあってな。
 ついでだから、CVに出たこと無い、お前を誘ってみようってことになった」

「それは、めっちゃ光栄ですけど…いいんですか?」

「なんだ、メンバーにビビってるのか?
 周りを気にする必要はないぜ」

そうは言うけど、実際この面子でビビらない方がおかしい。

「えーと…出演者は、これで全員ですか?」

9人、ってのはちょっと少なめだな。
その分俺の占める割合が大きくなる訳で、あー余計緊張する。

「んーと…はさみさん、これで全員ですか?」

kUzuさんが、はさみさんの方を向いて聞く。

「あとNIKoo君が。
 それで、合計9人。私は今日は編集に専念するから」

「ああ。そうだった。
 まあ、NIKooなら時間どおりには来ませんね」

「そうねー、でもまあ、そのうち来るでしょ。
 はさみ、準備始めたら?」 

「んー、そうだね。じゃあ、Pespくん。決まった?」

「うむ」

はさみさんの言葉を受けて、Pespさんがなんだか大仰に返事をする。
咳払いをして全員を注目させた後、続ける。

「それでは発表させて頂こう。
 今回、即席CVを作るにあたり、そのネーミングをわたくしがうけたまわったので、
 ここで発表、仕らせて頂き候」

「話し方きめーって」

kUzuさんが突っ込む。
Pespさんは、それに対してまたひとつ咳払いをした後、言った。


「名づけて…ひろばーぶい!」





沈黙。

「…ひろばーぶい?」

kUzuさんが恐る恐る聞く。

「うむ。広場で作るから、ひろばーぶい」

再び沈黙。

「アホか」

「何っ」

そのPespさんに、ようやく突っ込みを入れる声がした。
みんなが声のした方に振り向く。

「NIKoo」

kUzuさんがその名前を呼ぶ。
ちょっと目つきの悪い人、NIKooさんがいた。
心底嫌そうな眼でPespさんを見ている。

「なんだそのだせえ名前は…そんな名前なら俺帰るぜ」

「…まぁまぁ。ゆるい感じで、いいんじゃない?」

「ネーミングをPespに任せた時点で、こんな感じになるとは分かってたし、仕方ないか。
 NIKooもせっかく来といて、まさか本当に帰らないよね?」

はさみさん、リアさんがとりあえずフォローのようなものを入れる。
というか、マジでひろばーぶいになるのか。

「あ、広場って言っても西町のもあるからややこしいか…。
 じゃあ『ひがしまちのひろばーぶい』で…」

「…いや、ひろばーぶいでいい」

流石にそれは、という表情でkUzuさんが止める。

「じゃあ、ひろばーぶいでいこう」

はさみさんが言う。決定らしい。

「というか、主催ははさみさんなんですか?」

リアさんに聞く。

「そうよ。編集もはさみがやるわ」

「編集、か…」

俺にはどうも得体のしれない領域、という感じだ。
それを間近で見れるというのは、まぁ楽しみである。

「というか、俺は何をすれば…」

「んー、でもCV作るとこを、見たことはあるでしょ?
 それなら、なんとなく流れは分からない?」

「えーと…」

見たことは、確かにある。
一番最近だと…JapEn4thになるのかな。
収録にはいかず映像を後で見ることが俺は多いが、流石にJapEnは毎回見に行っている。

「スピナーが順番に出てきて、各自回してる、というか。
 ひとり2分くらいですか?」

「うん、確かに2分くらい回してるけど。
 実際に、『CVとして』使うのはそのうちの最後の十数秒の回しだけよ」

「ああ…確かに映像作品の方に残ってるのはそれくらいですね」

「長すぎる回しから生まれる魔力は編集しづらい、らしいんだよね。
 だから、ある程度流れを掴んだ後に、十数秒で質の高い魔力を出す、という形になるのよ」

「へぇー…十数秒、ですか」

「普段通り、始動からキャッチまでこなせばそれくらいよ。
 その分の魔力を、編集してる所に投げ込んでやれば、OKよ」

その辺が微妙によく分からないけど、まぁ見てれば分かるんだろう。たぶん。
とにかく緊張する。いきなりなんだもんなぁ。

「ねえ緊張してる?緊張してるね?緊張してるね?」

その様子を目ざとく見つけたPespさんが、早口で話しかけてくる。

「…それはまぁ」

「駄目だねぇ…それはナンセンスだ。
 CVは楽しんでなんぼだからね。細かいこと考えずに、フィーれ」

…フィーレ?
頭の中に?マークを浮かべていると、kUzuさんが寄って来る。

「…feelの命令系か」

「うん」

「分かりにくいし、感じろって意味で捕えて何が言いたいのか分かんねえよ」

「いや、それこそ、フィーれ」

「うるせえ」

…この2人のやりとりは、どうも見てて飽きないな。

「ねえraimoー、今日の順番って分かる?」

リアさんが振り向いて、raimoに話しかけた。

「あれ、聞いてないのか?姉御は8番目、後ろから2番目だ」

「自分のは覚えてるよ。raimoは1番目だったよね」

「ああ」

「この子の順番教えてあげて」

「…あー、エイは、4番目だ」

「4番目…」

ってどうなんだろう。見る人的には・・・えーと…。

「いや、別に順番なんざ関係ねーから。
 そんなの気にし始めたら、何もできなくなるだろ」

raimoに励まされる。
…俺は見るからに緊張しているようだ。

まいったな、と思って頭を掻いたところで、Makinと目が合う。
Makinはニコッと笑って、ぐっとこぶしを握って見せた。
頑張ろう、って意味だろうか。そうだろうな、たぶん。

「さて、と。
 そろそろ始めようかな」

そこで、はさみさんが、そう言うのが聞こえた。

その声を受け、そろそろ始まるのかーと周りを見渡すと。

「…うわ」

広場には、かなり人が集まって来ていた。
これ、観衆か。
たくさんいる。とにかく。

観衆を数えるという経験に乏しくて、何人くらいいるのか分からないけど。
かなりの数がいるように思える。

「500人近く集まるんじゃない?
 そんなおおっぴらに宣伝はしてないらしいけど、目立つ場所だし」

RiAsONさんが教えてくれる。

「…」

えーと、つまり、これでもまだ500人いってなくて、
これよりもっと増えるってことだよな。


「CVって、スピナーじゃない人も見てて面白いんですかね…」

ふと、疑問に思う。
俺はスピナーだから、他の人の回しは見ていていろいろ面白いんだけど、
他の人たちはどうなんだろう。

「スピナーじゃなくても、見るっていう立場で旋転に詳しい人も、結構いるのよ。
 旋転が分からない人も楽しめるようなことも、やったりするしね。
 …ま、この観衆も、半分くらいはスピナーだろうけど」

半分か。
そりゃ、スピナーならこんな豪華なCVは見逃せないよな、と思った

同時に、スピナーって結構暇なんだな、とも思ったけど。

「これでいいでしょうか?」

「…ああ、大きさはいいんじゃないか。
 後は、逆光を、防げばいい」

「そうですね、分かりました」

はさみさんが、outsiderさんと話しながら作っているのは、スクリーンだ。
観衆がいるCVだと、スピナーの手元とかを拡大してスクリーンに投射して、
見る人が分かりやすいようにしている。

見ると、簡単なステージっぽいものも出来ている。

「さて。そろそろ始まるわ」

他の人に従って、ステージ前の最前列に立つ。

こういうとき、出演者も、自分が回してるとき以外は観衆と同じ側にいる。
ただし、一番前という特定席が準備されている訳だが。

緊張感の中、始まるのを待っていると、数分後。

はさみさんが、ステージのすぐ前に立ち、こっちを向いた。

「どうも皆さん、今日は参加くださりありがとうございます」

はさみさんが、ぺこりと頭を下げる。

「私が主催・編集を務めさせてもらいます。
 皆さんのハイクオリティな旋転、期待してますので、よろしくお願いします」

「よろしくー」

「よろー」

声が飛ぶ。

CVでは、こういう野次のような声援のようなものが飛んだりする。
この様子だと、近くの出演者も出しそうな雰囲気だ。

いや、俺は怖いから出せないけどね。

「じゃ、始めます」

そう言ってはさみさんがステージ上に上がると、
スピナー達の少し後ろに立っている観衆たちに目を向けて、話し始める。

「どうもこんにちは。今日はお集まりくださりありがとうございます」

はさみさんの声は、やけに大きく響いている。

右手でゆっくりと回っているペンの仕業、というのは、言うまでもないと思う。

「早速なんですけど、始めたいと思います。
 即席ですが、クオリティはちゃんとしたものに負けないように頑張りたいと思います」

拍手が送られる。
はさみさんは、それに対して頭を軽く下げて、

「どうもありがとうございます。
 では、行きます。
 ひろばーぶい。
 どうぞ楽しんでいってください」

ペンをすっと構えるはさみさん。
ひとつ深呼吸をした後、ペンが回り始める。

同時に、広場に鳴り響き始める音楽。

ゆっくりとした曲調。

編集に関して、選曲のセンスという点はとても重要だと聞く。
今流れている音楽も、良い感じで雰囲気に乗れそうな曲で、この辺りは流石はさみさん、といったところだ。

真っ白だったスクリーンで、映像が踊り始める。
灰色を基調としたエフェクトは、広場の石畳をイメージしているとすぐ分かった。

そして、踊る文字。

『ひろばーぶい』

柔らかい字体・優しい動きで浮かんだその文字は、
その少し間抜けなはずの名前を、センスが感じるものに見せていた。

はさみさんが描くOPが終わりに近づき、ステージ上には、先鋒を務めるらしいraimoが上がった。

その表情が、この前、メッセで見た少しひねくれたような表情とは違って、
とても生き生きとしているように見えた。

OPが終わり。
raimoの旋転が、始まる。






「んー」

なんだろう、と。
toroは、違和感を感じていた。


東町の大通り。
僕が今歩いている、国外から、王宮までまっすぐに伸びるこの道は、
あらゆる意味で、JEBで一番大きな道路だ。

その長さ・幅の広さも、交通上の意味の大きさも、国民の持つ親しみの度合も。

そんな大通りを、国境からゆっくりと歩いて来たが、そろそろ王宮が近くなってきた。

大通りはどこでもある程度の人がいるけれど、王宮に近づくほどその人の密度は濃くなっていく。
だから、このあたりなら、それなりに人がいて別に問題はないのだが。
どうも、いつもより多いように思える。

人通りは多いのだが、自分とすれ違う人、
つまり自分と反対方向に歩く人の数は、多くない。むしろ、少なめ。

多いのは、自分と同じ方向に歩く人だ。
中には、急いでいるのか走って追い越していくような人も見受けられる。

「何かあるのかな・・・」

いい加減気になるな。

そう思っていると、道路脇の八百屋さんと目があったので、聞いてみることにする。

「すいませーん」

声を出したところ。
フードをかぶっていた自分の正体がわかったようで、

「toroさんじゃないか!どうもこんにちは、元気かい?」

「あー、どうも」

スピナーとしてそれなりに名が知れている自分だけど、
年齢が低めというのがあって、さん付けされながも、親しみを感じてもらっている。
たまーに、初対面でも馴れ馴れしい態度をする奴がいるのはいただけないけど。

「toroさんは見に行かないのかい?」

「何かあるんですか?
 今、旅の帰りなんで、よく分かんないんですけど」

「おお、そうだったか。
 今、広場でCVやってるらしいんだ。それも、なかなか豪華な面子がそろってるらしいんだよ」

なるほど。そういうことか。

「そっかー、どうもありがとー。
 野菜、こんど買いに来るからー」

「おお、よろしく」

CVかー。
つまり、さっきから微妙に多い人の流れは、CVの噂を聞きつけて見に行く人たちなんだろう。
それなら説明はつく。

僕も見に行こうかな。メンバーも豪華らしいし。

そう思い、通りにもう一度目を向けると。


CVを見に行く人の流れとは逆行する、3人組を見つけた。

別にそのこと自体は問題じゃない。
広場に方向に向かう人の方が多い、というだけで、
実際ある程度の割合の人は広場とは逆方向に歩いている。

ただ。彼らの右手に、ペンが握られていたのが見えた。

こういうとき、スピナーなら、普通はCVを見に行くはずだ。
なんで、広場から離れて行っているのだろうか。

3人も揃っておいて、1人も知らないというのは違和感を感じるし。
そもそも、彼らは広場の方から歩いてきたということになるんだから、
広場の近くを通っておいて、気づかないなどという話はないと思う。

「…気になるなー」

CVに興味を示さない、というのもだし、
彼らが歩きながらペンを持っているのも気になる。


ああしてわざわざ手に持っている場合としては、
すぐにペンを回さなければならないような予定があるとか、何かを警戒している場合がある。
そしてもう1つ。自分がスピナーであることを、周りに誇示したがるような輩の場合、だ。

どっちにしても、あまり好ましい話ではないよな。


toroは、ちらりと広場の方に目を向けた後、人込みに紛れて3人組を尾行し始めた。






静かな曲調に合わせるようにして、raimoのペンが動き始める。

丁寧に、滑らかに鮮やかにペンが回る。

raimo独特の雰囲気のある旋転。
曲とマッチして、見ているとどんどん引き込まれていく。

「…すげぇ」

raimoの旋転をこんなに近くで見るのは初めてだが、凄い。

何と言えばいいのだろうか。
ペンを回している、というより、ペンが自分から回っている、という感じだ。

ペンが意思を持っているように、滞りなく美しい軌道を描き続ける。
ときおり、手の動きが大きくなる技も繰り出されるのだが、
その時でも、ペンの動きは滑らかさを失っていない。

観衆からも、感心したような声が時折漏れるのが聞こえる。

「あれ、何かやらないんすかね?」

「今日は控えるって。
 ま、はさみが茶々入れるとは思うけどね」

リアさんとkUzuさんが話している。
イマイチ何の話か分からないけど、茶々、って話は気になるな。

「お」

「来たね」

はさみさんが動いた。
曲調が、変わってきた。だんだん、テンポが速くなる。

「raimoー、なんか遅れてるよー」

リアさんが野次る。
それに対し、raimoがちらりと、視線を送る。

わかったよ、と。
raimoが口を小さく動かして、そう言った、ように見えた。

ペンの動くスピードはさほど変わらなかった。
が、技が派手なものが増え、緩急のつけ方も大きくなった。
曲調に、しっかり乗って来ている。

この辺、流石に技術があるなぁ。凄い。


広場のボルテージも、曲調の変化によって上がってきた。

そんな中、raimoがペンを一度つかんだ。

そして、汗1つ拭ったあと、ペンを改めて構える。

こっからが「提出用」の、旋転だ。
皆が、一気に注目するのが分かった。

ゆっくりとタメを作った後、曲とタイミングを合わせて、raimoが動く。

12から始動したペンは、そこから、今までの旋転をはるかに超えるクオリティで、
鮮やかに、滑らかに、軌道を描く。

きっかり10秒観衆を魅了した後、ペンは23に、ゆっくりと収まった。

「…凄」

凄い、と言いかけたところで、
ステージにいつの間にか上がっていたMizmさんが、すぐさま引き継いで旋転を始めている。

息をつく暇もない、とはこのことだろう。
時間の密度の濃さに、圧倒されそうだ。


独特のリズムで繰り出される、Mizmさんの旋転に見入りながら、
やっぱりMizmさんも、なんだか楽しそうだなぁ、と思った。

今まで、CVに出ている人に注目するようなことはなかった。
だが、これから自分もああしてあそこに立つんだ、と想像すると、
否が応でも回しではなく人に注目してしまう。

場に慣れているだけなのかもしれないけれど。
そこに、ステージに立っていることの気負いは感じられない。

凄いな。

Mizmさんは満足げな表情で自分の番を終え、NIKooさんがステージを引き継ぐ。
音楽に合わせながら、自分の旋転を崩さず、技をこなしていく。

「次よ、90」

リアさんの声に、目をステージから動かさずに、答える。

「はい」

「緊張してない?」

「してますよ」

「そう。頑張ってらっしゃい」

リアさんの言葉に軽く頷き、席を立つ。

「やべっ、NIKooうめえええ」

Pespさんの声を聞きつつ、ステージの脇に移動する。

今流れている曲は、かなりハイテンポ。NIKooさんは負けじと鋭い旋転をかましている。

それを見ながら、俺は半ば達観したような心境になっていた。

このCVのメンバーは、とてつもなく豪華だ。
そんな中で、他の人たちに匹敵するような旋転をかますのなんか、俺には無理だ。

だから、大きなミスをしないように、しっかりまとめきればいい。
うん、そうしよう。

幸い、ペンを回し始めてからの時間は長い。
数分、持たせることはできる…はず。
祈るような気持ちで祈る。


NIKooさんが、「提出用」に入る。

「入っちゃっていいよー」

左横で、スピナーを見守りながら編集・裏方役を続けるはさみさんの声を受け、ステージに上がる。

NIKooさんが、鋭い122で旋転を終えたのが見えた。

曲が終わったので、一旦BGMが途切れる。
僅かな間。

聞こえる自分の心臓の音が大きすぎて、
観衆に聞こえてないかな?などというアホな心配が頭をよぎった。

その直後、再び響き始める音楽。

それにどこかせかされるようにして、俺はペンを動かし始めた。




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