投下するスレ 15
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「あー、ひでえなこりゃ」

美しかった裏庭は、かなり荒れていた。。

「まあ、Pespとかが暴れてりゃこうなるな」

そうNIKooは呟き、奥で激しい戦闘をしている2人に目をやる。

「むーっ」

Pespが悔しそうな声を上げ、aaaaさん、bAKaさんから退避する。
かなり距離を詰めたが、絶妙なタイミングでDaReKaさんに邪魔をされた。

「久しぶりの攻めだったのにーっ」

そんな叫び。見ていればなんとなく分かるが、やはり防戦一方のようだ。
2人とも傷を負っているのが見える。

が、戦闘は出来ている。
惑星組を相手に、しかも2対3。ここまで持ったというだけで、賞賛に値するだろう。







「どれ・・・」

少し様子を見て不意打ちでもしてやろうかとも思ったが、やめた。
俺も、さっさと混ざりてえ。

ペンをぎゅっと握り締め、NIKooは進み出ていった。


「っ」

ピーンと来た、とでも言えばいいか。とにかく、はっきりと感じた。
kUzuは、さっと気配があった方、左側に目をやる。

そこには、なんだかちょっと不気味な表情をした、NIKooがいた。

「NIKoo!」

思わず声が出た。
NIKooなら、実力は折り紙つきだ。戦況を一気にこっちに傾けられるはずだ。

「ううぇっ?」

kUzuの言葉に、PespもNIKooの方を振り返る。

「よう」

「え、お前ayatoriさん殺ったの!?」

目をものすごく大きくしながら、Pespが言う。

「いや。あれはちょっと俺には無理だな。
今は、姫とimuさんが相手してる」

「「は?」」

PespとkUzuが同じ言葉で返す。

「話は後だ。それより、さっさと片付けちまおうぜ」

NIKooが、顎で惑星組のほうを指した。


その仕草に反応するように、惑星組の攻撃が始まった。

まず新参への様子見ということだろう。軽めの攻撃だ。
kUzuとPespは軽いステップでかわす。
NIKooも同じくかわそうとしたが、一瞬躊躇した後、正面から迎撃した。

「ん?」

それを見たkUzuが、

「NIKoo、お前どっか痛めてる?」

一瞬黙った後、ひとつ自分に向けて舌打ちをして、NIKooが返答する。

「ああ、だからあんま動きたくねえ。援護するから、さっさと突っこめ」

「・・・」

kUzuはPespに囮にされた嫌な思い出が頭をよぎる。

「おっけー。kUzu、行け」

「・・・俺だけ?」

「うん。俺はちょっとNIKoo君とお話が」

「?・・・ああ、あれか」

kUzuはPespの少し前の言葉を思い出して、納得する。

「ったく、しゃーねーな」

kUzuは相手に向かって牽制を放ち、そして駆け出す。といっても、本気で攻める気はない。
要は時間稼ぎしろってことだ。2人の打ち合わせの為に。

さっきまでもひたすら防戦一方だったから、こーいう戦い方にはもう慣れたし、
それに、個人的にも興味がある。器用なNIKooならうまくやってしまうかもしれない。

ちらりと後ろを見る。
NIKooが、

「面白そうじゃねえか」

と、言ったのが聞こえた。







拳大の圧縮された空気が、高速で突進していく。

流石に遠くから撃ったから、あっさりと防がれた。
けど、Bonitoさんへの攻撃も止まった。

「いも?」

水壁を解除しながら、Bonitoさんが言う。

「どもです。助太刀に来ました」

いもはろひの攻撃をさばきながら答える。
Bonitoは安心したように大きく息を吐き、

「正直ちょっとヤバかったとこだ。助かった・・・っと」

Bonitoは、いもの後ろから来た人物を見て、言った。

「coco_Aもか。2人とも、相手を倒したってことか?」

「んーと、倒したわけではないですが、相手がいなくなりました」

いもが、少し言葉に困りつつ言う。

「・・・、姫さん、とimuさんの相手してたんだよな。
じゃ、2人がこっちに来てくれた、とか?」

流石はBonitoさん、といもは感心する。
頭の回転が速いというか、勘が良いというか。

「そういう感じです」

「分かった。ここは俺と、そうだな、いもで大丈夫だろう。
coco_A、toroのところ言ってくれ。塔の上でやってるはずだから」

「toroさんですか?」

coco_Aが妙だな、という表情をする。

「toroさんなら、indexさん相手でも大丈夫だと思いますが」

「大丈夫なはずだ。それこそ、一番に相手を倒してもいいだろう。
なのに、まだ終わってないから心配なんだ。
多分余計な事を気負ってたんだろ、楽にしてやってくれ」

「・・・分かりました」

coco_Aはうなずくと、駆けていった。
その姿を見送った後、Bonitoがいもの方に向き直って言う。

「さて、じゃあ行くか。相手のリズムはなんとなく掴んではいる。
俺がスキを作るから、攻めは任せるぞ」

「はいっ」

いもが力強く首を縦に振った。







「・・・くそっ」

ayatoriは唇を噛んだ。

広間は、少し前とは随分様子が違っていた。
到る所に氷の柱や壁が立地して、迷路のようになっている。

そしてその視界の悪さと、冷気に乗じて攻撃が飛んでくる。
それも、姫のオーソドックスな打撃・斬撃と、imuさんの多様で奇抜な幻術の2種類が、だ。

ayatoriのペンが鋭く動き、周りの氷を砕く。

瞬間、ayatoriの視界が揺れた。

「・・・っ」

絶妙なタイミングでの妨害。
さっきから、こっちが仕掛けようとする度に、邪魔をされる。

「お2人さん、お返しならもっと正々堂々と来ると思ったんですがね」

ayatoriが、苛立ちが滲み出ている声で言う。

「私はどうお返しするか、は言ってないわよ。何も」

声のした方に攻撃を飛ばす。
が、氷を砕いた以外の手ごたえはない。

「貴方の馬鹿な計画を止められれば、それで十分よ」

「・・・」

後ろから氷の結晶が鋭く突き出たのを、防ぐ。

落ち着け。
予定が狂った時こそ、落ち着くんだ。

ayatoriは深く息を吐く。


現状、数的にこちらが劣っている。
装置がやられる可能性も高い。
だが、JapEn1stの戦士達は予想以上に強い。まだまだ、粘れる。

この状況下だ。他で動いている、2人も駆けつけてくれるはずだ。
そうすれば、まだ勝機は、ある。

この2人が一番厄介だ、というのは予想通りだった。
うまくペースを崩されてしまっている。

とにかく、自分はこの2人を確実に倒さなければ。
勝利を焦っては、相手の思う壺だ。

「・・・よし」

ayatoriは1つ頷き、旋転を開始した。


「・・・ayatori、少し落ち着いたようね」

ayshは小声で、隣のimuに向かって言う。

「ええ。さて、どうしましょうか」

「時間稼ぎ、で十分よ。一番の強敵が相手だもの、焦る必要はないわ」

「そうですね。
・・・姫、少し気になることが」

声のトーンを少し変えて、imuが言う。

「何?」

「おいるの事です」

Sunriseは、少々傷が深かったためSEVENを連れていたwinterに引き取ってもらった。
今は、王宮内のどこかで、手当てをされているはずだ。

「おいるが反抗した理由についてなんですが・・・
なんでもSEVENが殺されそうになったようなことを話していました」

「え?」

ayshが、少し驚いたような声を出す。

「ayatoriがそうした、のかもしれませんが、少々話と違う気が」

「ええ、そうね・・・」

ayshは同意する。

2人の記憶ではayatoriは、倒した相手は生け捕りにして、
ゆくゆく説得するなり従わせるなりする、と言っていた。

「ayatoriが本当に頭がおかしくなったのかしら、ね」

「・・・、そうなんでしょうか」

2人はそこで、黙り込む。


ayatoriを今までの印象で考えるのは、最早無意味だと言える。
だが、命を奪う、というのはまだayatoriも超えない一線だとも思っていた。

歪んだやり方を取ってしまったとはいえ、ayatoriの目的は利己的だとも言いがたい。
旋転の開放というのは、ayatori個人だけが利益になるとは言いがたい事だからだ。

それに、JEBという国をayatoriは治めるつもりだ。
JEB内の優秀なスピナーは利用価値があるから殺さない、というのは、
モラルとかの理由抜きにしても筋が通っている様に感じる。

やはり今回のayatoriはおかしい。
矛盾が存在している。まだ説明できない事がある。

「来た」

ayshが口を開いた。ayatoriの攻撃が、こちらに向いてきた。
移動のため、腰を浮かす2人。

「・・・、まだ何か・・・」

ペンを操りつつ、imuが呟いた。







カラン、と音を立てて棒が落ちる。

落ちた棒は、砂糖菓子のように粉々に崩れて、そして消えた。

「ふう」

ため息を、ひとつつく。

武器である、棒より少し遅れて。
長身の少年は、その姿を消し、後には一本のペンだけが残った。

「・・・お疲れ」

なんとなく、そう声をかけた。

337は、ps_728を破っていた。


まだこの頃のなにわーおは荒かったな。
もっと技術が磨かれた、後年の彼だったら厄介だったかもしれない。

ただ、どっちにしろ、多分僕は負けなかったかな、と337は思う。

編集者として、リアルタイムでメンバーの旋転を見た337にとって、この装置はあくまで模造品であった。

だから、その対策も、なんとなく体が分かっていた。
口では表現しづらいんだけど、戦闘のパターンとかが染み付いていた。

それだけ、彼等と深く関わってた、ってことなんだろうな。

「・・・あー・・・」

駄目だ。
ぼーっと突っ立ってたら、いつまでも感傷に浸ってしまいそうだ。

「・・・、よし」

廊下を、情報室に向けて走る。
今の局面を把握して皆に伝えよう。


扉を開ける。
王宮内の情勢を見ようとして、その前に、目が止まる。
机の上のある記録。

「・・・?」

なんで、こんな所に入った人がいたんだ?

時刻を見る。ayatori達が攻めてくる、30分ほど前。

・・・、なんか、胸騒ぎが。

337は情報室を出ると、廊下を駆けていった。




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